再発を繰り返すヘルペスの原因、ヘルペスウイルス

2019年08月15日
多色な薬と葉

再発を繰り返すヘルペスの原因は、ヘルペスウイルスと感染患者の細胞との親和性の高さにあり、1度感染すると一生涯病原ウイルスを保有する事が再発の原因です。
ヘルペスは、口唇の周囲や口腔内及び咽頭部などに水泡や潰瘍を発症させるHSV1型や下半身を中心に発症するHSV2型に加え、水痘・帯状疱疹ウイルスなど人間に感染する8種類のウイルスが確認されています。
ヘルペスウイルスは、幼少期に好発する水疱瘡の病原である事や大家族ほど家族内感染率が高い事から高齢者ほどウイルス保有率が高く、60歳以上の高齢者では80%以上がウイルスの保有者ですが、現在では核家族化や上水道の整備によりヘルペスウイルスの保有率が若い世代ほど低くなっているのが現状です。
現在では、世界初の抗ヘルペス薬ゾビラックスやバルトレックスなどのDNAポリメラーゼ阻害薬を5日間~10日間程度の服用で治療でき、安価なジェネリック医薬品も数多く製造されています。

ヘルペスウイルスは、遺伝子情報を内包するカプシドを人間の細胞に送り込む事で感染させ、感染細胞の遺伝子情報を書き換えて増殖に必要なDNAやタンパク質などを生合成し、増殖最終プロセスとなる出芽時及び放出時に細胞膜をウイルスを覆う外膜エンベロープとしてまとう病原です。
その為、人間の細胞と親和性が非常に高く、生存や増殖に不向きの体内環境時には三叉神経節領域や腰髄神経節領域及び仙髄神経節領域の神経細胞に潜伏感染してしまい、現在の治療薬では完全に死滅させることが出来ないのが現状です。
ヘルペスは、感染細胞内でDNAを脱殻して環状化して休眠状態に入り、過度の疲労蓄積や疾患の罹患などにより著しく免疫力が低下するとローリングサークル型DNA複製で再発する病原です。
ヘルペスウイルスは、環状化している休眠状態時には完全に停止していると考えられていましたが、現在では休眠状態でも皮膚組織に症状を発症させる事があります。

ヘルペスウイルスを撃退する治療薬、バルトレックス

ヘルペスウイルスを撃退する治療薬は、バラシクロビルを主成分とするバルトレックスやアシクロビルを主成分とするゾビラックスなどがあり、ジェネリック医薬品は日本の製薬メーカーからも数多く市販化されています。
バルトレックスの主成分バラシクロビルは、ゾビラックスの主成分アシクロビルに人間の必須アミノ酸バリンを付加したプロドラッグであり、バリンを付加した事によりゾビラックスのバイオアベイラビリティの2.5倍~5.5倍程度まで引き上げ、1日の服用回数を少なくしています。
バルトレックスは、服用後主成分バラシクロビルが小腸で吸収され、肝臓の薬剤代謝酵素によってアシクロビルとバリンに分解されます。
アシクロビルは、DNAの構成成分をリン酸化するヘルペスウイルス由来のチミジンキナーゼと細胞性キナーゼによってアシクロビル3リン酸に変換されますが、アシクロビル3リン酸はヘルペスウイルスのDNA基質のデオキシグアノシン3リン酸と酷似している事からDNAポリメラーゼの影響を受け、デオキシグアノシン3リン酸と置換される事で増殖を抑制する医薬効果を発揮します。

バルトレックスは、ヘルペスの症状改善の為の治療だけで無く、潜伏感染中のヘルペスウイルスに対しても有効とされ、特に性器ヘルペスに対しては保険適応で再発抑制治療が行われています。
再発抑制治療は、1日1回バラシクロビル力価500mgの服用を8週間~最長1年間継続する事で体内のヘルペスウイルスを約3分の1まで減少する医薬効果があり、1年間に6回以上再発する患者に対しては保険が適用されています。
バルトレックスは、服用回数が1日2回と少なく副作用の発生頻度や重症化リスクの少ない安全性の高い治療薬ですが、特有の副作用もあります。
バルトレックスは、アシクロビル溶解度を超えると再結晶する特性を有する事から細長い管が集中している細尿管で再結晶するリスクが高く、再結晶化によって細尿管を狭窄及び閉塞してしまい急性腎不全を引き起こすリスクがあります。